「原子力は金になりまっせ」という下卑たワーディングは、日本人の卑俗さを表しているというよりは、日本人の「恐怖」のねじくれた表象だと思った方がいい。
日本人は「あ、それは金の話なのか」と思うと「ほっとする」のである。
金の話なら、マネージ可能、コントロール可能だからだ。

なんでも金の話にする人間というのがいるけれど、あれは別に人並み外れて強欲なのではなく(そういう面もあるが)、むしろ人並み外れて「恐怖心が強い」人間なのではないかと思う。
出版社系の週刊誌の基本は「人間は色と欲でしか動かない」というシンプルな人間観だが、それは彼らがそう信じているということよりもむしろ、そう「信じたい」という無意識の欲望を映し出していると考えた方がいい。

彼らは「よくわからない人間」が怖いのだ。
どういうロジックで行動するのか見えない人間に対して恐怖を感じると、彼らは「それもこれも、結局は金が欲しいからなんだよ」という(自分でもあまり信じていない)説明で心を落ち着かせるのである。
その手を日本人は原子力相手に使った。

「原子力というのはね、あれは金になるんだよ」

そう言われ、自分でもそう言い聞かせているうちに、原子力という「人外」のものに対する恐怖心が抑制されたのである。
なんだ、そうなのか。あれはただの金づるなのか。なんだ、そうか。そうなら怖いことなんか、ありゃしない。ははは。ただの金儲けの道具なんだ、原子力って。
全員がそういう語り口を採用したのである。

政治家も、官僚も、もちろん電力会社の経営者も、原発を誘致した地方政治家も、地元の土建屋も、補償金をもらった人々も、みんな「あれはただの金儲けの道具なんだよ」と自分に言い聞かせることによって、原子力に対する自分自身の中にある底知れぬ恐怖をごまかしたのである。

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 【質問】
 英国では,戦争のときには貴族が率先して志願する,というのは本当か?

 【回答】
 それほどではないにしても,貴族に対しては庶民より高い行動規範が求められていることは確かである.

 しかし,日本人は英国貴族に対し,そもそも大変な誤解がある,という.
 貴族には守られねばならない暗黙の了解が幾つもあってめんどくさいし,また,質素な生活をせざるをえない貴族も多い.

 以下引用.

 英国貴族が今どういう生活をしているかは常識で考えたら誰でも分かることである.
 立憲君主国で民主主義国のイギリスで,貴族という位だけはあっても,貴族だけが3世紀前の生活をしていることなどありえず,普通の庶民,市民と同じ生活をしている.称号があるから貴族と呼ばれるだけのことだ.

 〔略〕

 それでは,当のイギリス人にとっての貴族像はどんなものなのだろうか.
 じつは,日本人が抱いている貴族に対する憧れとは全く異なる物なのである.
 一言で言えば,貴族というのは特殊な世界で,貴族は大変だ,ご苦労なことだ,と思われているのである.
 英国貴族には貴族としての義務があって,「戦争のときには貴族が一番最初に志願しなければいけないんだそうですね」などと聞きかじっている人もいるが,それほどではないにしても,貴族に対してはより高い行動規範が求められていることは確かである.
 貴族と一般庶民との最大の違いは,庶民が国を守るために自分の身を捧げなくても誰も何とも言わないし,お腹をすかしているときにパンを盗んでも,モラルの上では何にも言われない.
 しかし,もし国が滅びそうになっているときに貴族が自分の身を捧げなかったら,あるいはもしお腹がすいているという理由で貴族がパンを盗んだら,大変な非難を受けるだろう.
 国民の規範たれ,などと堅苦しく言われているわけではないが,伝統的に,王室を守って国の柱石になる,というふうな意識が残っている.
 もちろん,貴族の中にはそうした意識の低い人もいるし,悪いことをする人もいる.
 しかし,貴族の家庭の躾や教育には伝統的にそういう面がある.

 アメリカのテレビ番組「ダイナスティ」に出てくるような,あるいは日本で想像されているような華やかで上滑りの,毎日パーティに行って,毎朝遅くまで寝ていて,義務もなくマナーもなく,召使をたくさんこき使って楽に暮らしているのが貴族だと考えたら間違いである.
 彼らの生活はもっと質素で厳しい.成金貴族もいないわけではないが,そういう家族は決して尊敬されたり,憧れの的になったりすることはない.

 貴族という事に関連して日本人から良く受ける質問がある.
 イギリスは階級社会だから,下の階層にいる人はさぞ上の階層に行きたい,貴族になりたいと思っているでしょうね,というものである.
 これについては,必ずしもそうではない,という程度にしか答えられない.
 なぜかといえば,民主主義国であるにも関わらず,イギリスが階級社会として今まで残ってきた理由は,貴族だけが得をしたり,上流階級だけがいい思いをするようなことがなかったからである.
 現在では原則的にはどの階級も平等であり,経済的に特権を持つことはない.
 意識の上で階級制度は残っているが,これは無視しても差し支えないくらいのものだ.
 極端に言えば,労働者階級は労働者階級として,中産階級は中産階級として,貴族階級は貴族階級として,どの程度もある程度まで自分の階級に満足していたから階級がそのまま残って来た,ということなのである.
 もし満足していなかったら,よその国と同じように革命が起こって王政も貴族制度もなくなっていたことだろう.
 イギリスは,かつて世界に君臨し,世界中から富を集めてきたというバックグラウンドがあるし,イギリス自体が豊かな国で,長い間の富の蓄積があったために,それぞれの階級が満足してきた.
 欲を言えばきりがないけれども食べていくのに困らないし,仕事もまあまあだし,夏休みもちゃんと取れるからこれでいいのではないか,というふうに考える.

 貴族階級は貴族階級で昔に比べればずいぶん苦しくなったし,屋敷の維持も大変だけれども,でもまあ,昔の特権を考えても仕方がない,というふうにそれぞれが考えている.
 一方で,労働者階級の息子がとても頭が良くてケンブリッジ大学に進学したいと言っても,親が
「まあ,やめたほうがいいよ.うちあたりで何も大学に行って苦労することはないじゃないか」
などと言うのである.
 親が子どものお尻を叩いて,いい大学に行かせ,できたらい家の娘と結婚させて,階級を上げて貴族になりましょうなどと考えている人はまずいないと言っていい.
 何を苦労して上のクラスに行かなきゃならないんだ.行けば行くほど義務が増えて,小うるさいことがあって,食事にはいつもネクタイを締めていなくてはならず,何かするとすぐに「貴族のくせに」とみんなに非難される.いいことなんか何もないじゃないか.
 そんな苦労をするくらいだったら,パブでのんびりビールでも飲んで,庭仕事をして暮らしているよ,というのが平均的な労働者階級の考え方だと思う.
 私なども「へーえ,日本人で貴族と結婚した人」とびっくりされることはあっても,貴族になってよかったわねとか,それはすばらしいわねと言われたことは一度もない.

 〔略〕
貴族の中にも貧乏な貴族もあるし,お金持ちの貴族もある.
 昔から続いている古い貴族の中には,今でも悠々と自分の土地からの上がりで食べていける貴族もあるが,ほとんどの貴族は,土地とお城があればあるほど,それを維持していくのは大変だというのが現状である.
 貴族の中にある幾つかの暗黙の了解みたいなものの一つは,王室にたいする忠誠心である.
 イギリス人は貴族でなくても忠誠心を持っている国民だが,貴族の場合には特にそれが強い.
 もう一つは,イギリスの伝統を守るということである.
 イギリスの伝統を守るということの中には,自分の屋敷や畑,土地,絵,家具,そういったものを簡単に処分しない事も含まれる.
 自分の家の名前を大事にすると同時に,自分の家に先祖代々から伝わってきた物をできるだけ自分の手で守っていこうと努力する.これが自分の国を守ることでもあるし,地方を守ることでもあるし,また自分の名前を守ることでもあると固く信じている.
 〔略〕
 貴族の邸を維持するのは非常にお金がかかることである.
 貴族の邸が売りに出るときというのは,ひたすら維持費が出せないという理由からである.
 大きな邸や館では,電気代だけ,あるいは暖房費だけでも1ヵ月に数万ポンドもかかるといわれる.
 こんなに維持費がかかる邸を維持していくために自分の家に伝わる絵を一枚売るとか,銀の食器を全部売るとかして費用を捻出しなければならなくなる.
 しかし,できるだけ売るのを避けよう,売らずに頑張っていこうと努力している人たちが多い.
 そのために1年のうち少なくとも半年は邸を公開して,入場料をとって一般の人たちに見せたりする.
 その収入は無税になる.そういう特別な税法があって貴族の邸は守られている.
 ただし,公開している間は自分たちは住めない.
 だから,邸の後ろのほうの小さい部屋に住むか,別に小さな小屋を建てて住んで,主家をいわば公衆に売り渡してしまう.
 もちろん自分たちのためにも使えるから実際に売り渡してしまうのではないが,このように邸や庭を美術館とか博物館みたいにして人々に公開し,ついでにその地域でできた物産を売ったりする人もいる.
 ときには,貴族の奥様が自ら案内して案内料をとることもある.
 それにしても,これは全部,自分の土地や邸を守るためにやっていることである.

 というように,貴族といっても何もしないで遊んで家を維持していける人はほとんどいない.
 仮に自分の屋敷を公開するにしても,そうやって一生懸命働いている.
 パーティとか競馬とかいう催し物には華やかに着飾って出かけるが,それ以外のときは普通の人と同じように,自分の家においてであろうと,外へ出ていくのであろうと,やはり仕事を持って暮らしているのである.
 古い貴族の家系であろうと,20世紀になって貴族になった家系であろうと,現在では貴族として得をすることは財政的には一つもない.
 貴族でも税金は同じであるし,むろん年金がつくわけでもない.
 貴族院に出席して政治を討議している人達は時間給というか日当というか,給料が出るが,しかし非常に安い給料である.

 〔略〕

 ついでに,男性の貴族にとって一番大切なことは何かと言えば,危機に瀕してパニックに陥らないことだろう.危機に瀕してなおかつユーモアの精神があることだ.
 ユーモアの精神はイギリス人にとって貴族から労働者階級まで不可欠の物であるが,特に貴族の場合,死ぬか生きるかというような瀬戸際に来ても,それをちょっと捻って笑い飛ばす心の余裕が望まれる.

マークス寿子著「大人の国イギリスと子どもの国日本」
(草思社,1992/7/20),p.157-164 & 167

 ただし,やり過ぎるとただのモンティ・パイソンになってしまうので注意.

アニメ『マクロス』シリーズは、その主要な原作者河森正治による複数の発言によれば[1][2][3]、全体が架空の世界で作られた創作物、いわば暗黙的な作中作である、という構造をもつ。このシリーズのすべての作品は「マクロス世界の歴史的出来事をモチーフにして後日制作された創作作品である」という設定を与えられている。たとえば、テレビアニメ『超時空要塞マクロス』は架空世界の歴史的事実をテレビドラマ化したものであり、アニメ映画『愛・おぼえていますか』は戦勝20周年を記念して2031年に公開された歴史映画とされる。架空世界の史実は直接ではなく常に作中作を介してのみ描かれるので、視聴者が知ることのできる出来事がすべて(架空世界での)歴史的事実とは限らない。
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「人間は書物のみでは悪魔に、労働のみでは獣になる」(徳富蘆花)
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オメラスは幸福と祝祭の町、国王も奴隷も、広告も株式市場もないし、原子爆弾もないところだ。この町があまりに非現実的で読者が想像できなくてはい けないからと、作者のル=グインはオメラスについてもう一つあることを教えてくれる。「オメラスの美しい公共施設のどれかの地下室に、あるいは、ことによ ると広々とした民家のどれかの地下食料庫かもしれないが、一つの部屋がある。鍵のかかったドアが一つあるだけで、窓はない」。この部屋に一人の子供が座っ ている。その子は知能が低く、栄養失調で、世話する者もおらず、ずっと惨めな生活を送っている。

その子がその部屋にいることを、オメラスの人びとはみんな知っていた・・・・・・その子 はそこにいなければならないことを、誰もが知っていた・・・・・・自分たちの幸福、町の美しさ、親密な友人関係、子供たちの健康・・・・・・さらに、豊か な収穫や穏やかな気候といったものまでが、その子のおぞましく悲惨な生活に全面的に依存していることを理解していた・・・・・・もしその子が不潔な地下か ら太陽のもとに連れ出されたら、その子の体が清められ、十分な食事が与えられ、心身共に癒されたら、それは実に善いことに違いない。だが、もし本当にそう なったら、その瞬間にオメラスの町の繁栄、美しさ、喜びはすべて色あせ、消えてなくなる。それが子供を救う条件なのだ。

こうした条件は道徳的に受け入れられるだろうか。ベンサムの功利主義に対する第一の反論、つまり基本的人権に訴える反論によれば、それは受け入れら れない--たとえ幸福の町の存続につながるとしても。罪のない子供の人権を侵害するのは、多数の幸福のためであろうと間違っているのだ。

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あるとき、スウェーデン人からおもしろい話を聞いた。

スウェーデンは白夜なので、夏の間は日が沈んだと思うと、夜中の二時ぐらいには、もう太陽が昇ってしまうのだという。すると一斉に鳥が鳴き出す。日 が昇るだけなら、厚いカーテンを引いて、なんとか眠りを妨げないようにする工夫もできるのだが、鳥の声だけはどうしようもない。

そこで、ひとつ提案があるのだが、とその人は言うのだ。だれか科学者を知らないか、と。

自分は冷蔵庫の原理を聞いたことがある。冷蔵庫というのは、熱を逆転させて冷やしているのだ。それと同じように、光を逆転させて闇を作り出すことはできないだろうか。
そうすれば、闇を作り出す装置を街灯のように設置して、太陽が昇っても鳥たちをそのまま起こさないようにできる……。

この話を聞いたわたしは頭がぐらぐらしてしまって、そんなことが可能かどうか、考えてみることすらできなかったのだけれど、光を遮断して闇を作るのではなく、闇を人工的に作り出すようなことがほんとうに可能なんだろうか。

闇を探す

0.闇を作り出すことはできるのだろうか?

(via ginzuna)
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